Fashionの大きな転換期??Fashion×Techがもたらしたもの、これからのFashionは?前編

年始にお届けした、Fashion Talkで2021年のFashion Newsを振り返りました。

私大分テンション上がってお伝えしたのが、NIKEのメタバース関連への新規参入についてです。何かこれはもう新時代に突入すると言わんばかりのテンションで語っていましたが、実際のところどうなんでしょうか?そんな所を語ってみたいと思います。前編はメーカー(ブランド)がどのように変化していったのかをお伝えします。

そもそもFashionビジネスはとても旧態的というか、とてもシンプルなビジネスモデルです。「物を作って売る」この一言に尽きるからです。飲食業の飲食店も似たようなビジネスモデルかも知れません。しかしながらその過程においては大きな違いがあります。その流れをサプライチェーンで並べるとFashionビジネスはとても多くの工程があるのが、特徴です。また更なる特徴としては、多くのファッション産業に従事をする企業はその流れの中のある一部の工程を生業にしているという点です。一連の流れを自社で全て完結できるのは超大手SPAブランドでも難しいのが実態です。吉野家でも牛肉は自分達で作ってないでしょ。知らんけど。

生地屋さん、縫製工場プレス屋さん、取次代理店、PR会社、ECモール、ショッピングモール、などなどなどなど。そしてそれらの中心にあり、川上から川下までを監督しコントロールや確認をする、消費者との接着剤を果たすのがいわゆるメーカー(ブランド)という構造になるのではないでしょうか。

サプライチェーンマネジメントの対象とする全体最適の範囲の拡張(クリックで拡大) 出典:ローランド・ベルガー

さぁ旧態的であったこの業界が少しずつ変化していきました。それがFashion Techの登場です。例えば、在庫管理システム。これまで大きなサーバーを用意して専用の社員を置きセキュリティ対策を高めるなどハード面の運用体制が必須でした。当然高コストなわけです。それがクラウド化される事でスムーズな導入と安全性、POSシステムとの連携でタイムリーな在庫共有、オムニチャネルへの対応がスムーズになり、様々な分析までもが可能になりましたね。川中の取次店で言うと、オンラインでの展示会が選択肢の一つになり、より多くのバイヤーに商品を見てもらいやすい環境が整いつつあります。消費者も店頭での買い物以外に、ZOZOTOWNを筆頭にしたECモールや、ShopfiyやBASEなどの簡単に誰でもECサイト作成ができるようになり、小さなショップやメーカーでも大抵はオンライン上で買い物が可能になった訳です。切り取ったのはごくごくごく一部ですが、「物を作って売る」の中の一部がDX化していく事で様々な面での変化が起きてきました。

話は少しそれ、ムーブメントやファッションのサイクルはSNSの登場で大きく変化していきました。これまでメゾンブランドが発表したコレクションから遅れること数年、様々な一般化の過程を経て、マス化していきましたが、インフルエンサーと呼ばれる発信力の強い個人の影響力が日に日に強まり、一般的な流行に合わせるメーカーにはクイックネスで早いサイクルのMDが求められるようになりました。またSNSの広がりと共に、多様性にも寛容な社会になり、ジャンルと呼ばれたような言葉の枠組み自体が徐々に薄まるか、あるいわ多様なジャンルの方を以前より見かけるようになってきたのか。何というか流行がフラット化していったようなイメージでしょうか。最早これと言って正解というコーディネートは存在しない、どんな服装であれ髪型であれ、互いに分かり合えるような社会になったかのようです。

DX化が加速する以前のFashionビジネスは参入障壁が高いモデルでありました。先にも述べた通り、複雑な工程で複数のプレイヤーが関わる為、体力(資本)がとても重要なファクターであったからです。Fashion Techの台頭はそうした旧来の価値観や手法を変えました。最も多大な功績は消費者に届くまでのコスト(時間・金)が少なくなった点かもしれません。ビジネスモデルの根幹は変わりませんでしたが、サプライチェーンのある部分においてはドラステックな変化や、高速化、低コスト化をもたらしたしたのは事実です。分かりやすい例を挙げるならば、Fashionのスモールビジネスが可能になってきたという点です。あるインフルエンサーが自身のプロデュースした商品を簡単にデリバリーできるようになり、一時はハンドメイドのアクセサリーがブームになりました。そしてポイントは直接消費者へ繋がれる事です。店舗を持たずともファッションアイテムを販売できるようになりました。販売行動を喚起するまでの仕組みが誰でも簡単にできるようになったからです。そこには言わずもがななアプリやプラットフォームがあった訳です。そうした変化でまず参入障壁が下がり、スモールビジネス、販売までのクイックネスが加わりました。様々な嗜好性を満たす事が可能になったと同時に、多くの種類のFashionが登場したのが、Fashion Techがもたらした物の第一弾であったのかと思います。

要するに誰でもメーカー(ブランド)になれるチャンスはあるよ、とかメーカーも色々低コストで高機能に消費者に届けられるようになったよ。ITとかSNSってすごいね!色んなFashionが楽しめるようになったよ。なんていうのが言いたかった事なんですが、後編では価値観までもが大きく変えていった、Fashion Techについてお話ししていきたいと思います。

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