Jeansの歴史年表「タイムトラベル」シリーズは第3段。 前回のタイムトラベル60'sから時間が空いたが、タイムトラベルシリーズ70'sをお届けしよう。 1970年代、今のファッションにも大きな影響を及ぼすこの時代。ここ10年を切り取っても何度も「トレンドは70sテイスト!」なんて言葉を耳にした。 その1970年代はジーンズに置いても深く関わりのある時代だ。諸説あると思うが、ジーンズの歴史の中で大きな転換期となったのは1969年のウッドストックコンサートのあたり。ベトナム戦争反対など反体制の若者を象徴するスタイルが長髪にベルボトムだ。70sと言えばベルボトムと言える程に今でも一つのスタイルとして受け継がれている。 この頃のジーンズの製造面に目を向けると、まだ国産のデニム生地は存在せず、キャントンやコーンミルなどのアメリカのデニム生地を輸入し、日本企画のデニムを生産していた時代。正式に契約まで漕ぎ着け輸入したデニム生地が、実はB反(織りキズなどが入った生地のB品)が送られていたりと試行錯誤をしたようだ。ジーンズを縫う為の糸、リベット、ボタンやファスナーなども輸入していたそう。確かにこの頃の古着の国産ジーンズを見るとTALON社やSCOVIL社のファスナーが使われている物を目にする。 若者のジーンズの流行に火がつき、その勢いは生産が間に合わなかったくらいだったようだ。正に作れば売れると言われた時代。 この時代で注目出来るのがもう一つ、ジーンズの洗い加工だ。現在では当たり前になっているデニムの加工。当初は未洗いの状態で販売していたが、硬くごわつくデニムの生地感が日本人には不評だったそう。そこでクリーニング業者でジーンズを一度洗ってから販売する事に。今で言うワンウォッシュだ。 ここからストーンウォッシュや、80年代のケミカルウォッシュなどに発展していく。ジーンズの洗い加工は日本で誕生した。 また、ジーンズと言う言葉が生まれたのもこの1970年代。60年代はGIパンツ、略してGパンと呼ばれていた。由来はアメリカ軍兵士(Government Issuees)が穿いていたパンツから。Gパンは日本で作られた名称。 ジーンズの由来は、ジーン(GENES)とよばれる生地を使ったパンツという意味から。 ジーンの語源はイタリアのジェノヴァ(GENOVA)とする説が有力で、ジェノバの丈夫な生地からきているそう。丈夫なデニム生地のパンツをジーンズとアメリカで打ち出されたのが始まり。その影響を受け、日本でもGパンをオシャレにジーンズと呼ぶようになったようだ。 この日本のジーンズ黎明期、大小様々なブランドが誕生しているのも面白い。 数年前に某オークションサイトにて発見し、手に入れたのがこちら。(こんなコアな物を欲しがる人はいないだろうと思ったが、他にもう1人いたようで随分と値段が釣り上がったが。。) 70年代の国産ジーンズブランドのフラッシャー60枚! 70sを代表するベルボトムはコチラ カウボーイやウエスタンなどアメリカを意識したデザインが実に面白い。 一見輸入品を思わせるフォントやモチーフに、日本製を謳う漢字や社名のカタカナなどを入れたバランスにも味がある。パソコンのなかったこの時代に、ここまで完成度の高い印刷物を作っていたのも素晴らしい。 この頃の国産ジーンズのデッドストックは今でもたまに古着屋で見掛ける。ボタンやファスナーなどからどのくらいの年代に作られた個体かなどを推測するのも面白い。 全てに触れる事は出来ないが、1970年代とジーンズの歴史に少しだけ興味を持って頂けると有難い。