これまで幾度となくPodcast、Street Snapで韓国ファッションについて触れてきました。お隣の国韓国は私にとって、かつての近くて遠い国感はなく、ここ数年でぐっと身近な感じがしています。皆さんも今日では様々な韓国カルチャーに触れていて同じような感触を得ている事と思います。私は、飛行機のトランジットを含めると10回以上行ったと記憶しています。また、ある時には午前中にその日のチケットを取り、弾丸1泊2日で旅行に行った事もあります。さて韓国という国をしっかり認識したのはいつだろうと遡るとやはり、2002年の日韓ワールドカップになるのではないかと思います。時を同じくして冬のソナタというドラマが大流行し韓流という言葉が生まれます。しばらくの後我が家では母親はチャングムの放送に齧り付いていていました。2000年代中盤から2010年代に入ると東方神起、少女時代(Girl’s Generation)、2NE1、KARA、BIGBANGなどK-POPが日本のトレンドを席巻し、近年ではTwice、BTS、Black Pinkなどのトップアーティストの人気は韓国、日本に留まらず世界中でトレンドを起こすまでの存在になってきました。また音楽だけでありません。記憶に新しいのは近年の大ヒットドラマや映画の数々パラサイト、イカゲーム、梨泰院クラス、愛の不時着など数多くの世界的良質ヒットコンテンツを生み出してきました。
韓国ファッションを語る前に前段として背景的なのを前編ではお話しさせて頂きます。
経済大国と呼ばれる国の多くは製造業を中心に国力が高まっていきます。かつて日本は明治維新から30,40年余りの速さで空母、航空機を国産化に成功し、開国から瞬く間に列強と位置付けられる地位にプレゼンスを高めました。そして戦後も自動車、電化製品を作る事でGDPを高めていき今日の国際的なプレゼンスに至ります。アメリカも同様に最先端のミリタリー技術は基より、航空機、自動車、宇宙産業、ITまで幅広い分野で世界をリードし続けています。一方中国は爆発的な人口と国際為替とのギャップもあいまり、世界の工場として国力をつけてきました。現在の先進国と呼ばれる国の大半はなんらかの技術をもち製造し販売する、というチェーンを持って成長に至るロードマップが主です。しかしながらシンガポールやカタールなど近年先進国(Developed Country)となった国々はこれまでの主流なチェーンとは異なるプロセスで発展を遂げました。最近では疫病や国際的な軍事的緊張感の高まりもあり、資源(リソース)や地政学的なリスクのあるなしも発展における大きな必要条件となっております。世界的に自由な経済圏はトレンドではなくなり、近年ではブロック化の様相を見せております。これによりかつてのような世界市場を相手に発展の遂げ方は困難な様相と言えるのではないかと推測できます。
韓国はかつてヒュンダイ、サムスンなど財閥系の製造業を中心に、戦後日本のような発展を遂げていましたが、1997年のアジア通貨危機により、リセットボタンを押さざるを得ない状況とな離ました。そして2000年代初頭より再び目覚ましい回復を遂げます。半導体、ITなど先端産業中心にかつての様な超輸出大国に戻り、大幅なGDPの成長率で推移しています。直近では一人当たりのGDP比で日本を追い抜こうとしている状況です。そして直近10年の韓国を語る上で欠かせないのはソフトパワーという単語です。先にあげた良質なコンテンツの数々によりMade In Koreaというのは格好たる地位を築いています。訪韓観光客は年々大きな伸び率を示しており、ソフトパワーが韓国の新たな価値に押し上げたといっても過言ではありません。私が考えるに韓国は半導体、ITの力で再び発展を遂げ、ソフトパワーでその地位をリブランディングした新たなモデルのDeveloped Countryであると思います。また、ソフトパワーはブロック化を超えボーダーレスに効果を波及していきます。
さて、先ほどより良質なコンテンツと言いましたが、咀嚼して文字にするととカッコいいといという言葉がピッタリです。世界的なレベルでかっこいいのです。ドラマや映画はNetflixなどサブスクサービスの浸透により、コンテンツはボーダーレスになりました。早くから韓国はコンテンツ輸出国として、レベルの高い海外向けの作品を多く発表する様になりました。撮影の規模やプロモーションの規模も当然日本とは異なります。日本ではドラマコンテンツは主に日本で作られ、日本で消費するのがメインです。親近感が湧く一方で、どうしても日本人の心をくすぐるようなテーマーや、我々の生活スケールにあった設定が主だったものとなります。一方で韓国、恋愛もの一つでもスケールが日本と違います。韓国人と北朝鮮将校との禁断の愛を描いた愛の不時着では日本では考えられないようなテーマとなり、学校のヒーローに恋する日本の恋愛ドラマとはスケールが違ってくるのです。最近の私のイメージではStrenger ThingsやGame Of Thornesなど悪者を退治するコンテンツはアメリカ産が最強。恋愛でキュンキュンしてドキドキしたければ韓国産が最強。という勝手な方程式が私にはあります。
音楽でも同様です。ここで私の実体験を話しますが、家での食事を食べている時や暇な時間などは、専らYoutubeをモニターで流している事が多いです。当時我が家ではNizi Projectというリアリティオーディションに家族で大ハマりしていました。当然MVで見るアーティストはこれまでのUS TOP40から、K-POPがサジェストされるアルゴリズムになります。ふとBlack PinkのWhistleという曲を聴いた時、私は衝撃を受けました。サウンドがUSのヒット曲のそれと何ら変わりなく、コード進行、ラップの譜割り、三連符フローの絶妙さ、ベースの走り方など細かいディテールがかなりレベルが高く、完全に私好みだったのです。Hip Hopファン歴とマニア度はなかなかであると自負している私ですがこの一曲はかなり喰らいました。調べてみるとこの曲なんとデビューシングルなのです。デビュー時から世界の最新のトレンドを意識し、世界市場に目を向けていたのが分かります。
音楽的に難しい引き算が完璧にかっこよくされた一曲です。2016年にこの曲はかなり最先端です。
そうそしてK-POPを語る上で欠かせなのが、ファッションとビジュアルです。いわゆる日本で耳にするK-POPは、ダンスボーカルユニットが主流です。ビジュアル担当と呼ばれるスタイルがよく、とても整った顔のメンバーが必ずいます。MVでは最先端のファションを身につけて登場しているのがシーンがよく見受けられます。
Twice/Scientist Thom Browneの衣装着用
BTS/IDOL Gucciのジャケット、ハーフパンツを着用
MVの衣装をハイブランドで固める一方、黒系のストリートファッションでバケットハットを被り、スタイルを生かした細身のパンツをかっこよく履きこなすスタイルなどはK-POPアーティストからインスパイアされたイメージがあります。写真の様なスタイルは完全に日本のストリートスタイルと呼ばれるスタイルに市民権を得られてきた様な気がしてなりません。
長くなりましたが、続編ではもっと具体的なトレンドやブランドにいて解説していきたいと思います。
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