AIはFashionを変えるか?Fashion界のAIトレンドを深掘ります-後編-

前回のコラムでは私のどうでもいいAIとの出会いから、直近のブームにつて解説しました。後編ではFashion業界のAIトレンドやAIの技術がFashionにどう影響を与えるのかを述べてまいりたいと思います。

Chat GPTに代表される文章生成系・自然言語処理系のAI技術を使ったサービスのローンチが相次ぎました。多くは一般人でも使いやすいUIで利用シーンもグッと身近になった為にこの第四次AIブームは、いよいよAIと共存する社会の本格的な実装の第一歩として広く注目されるようになってきました。

さて、この先端技術は私の組みするFashion業界においてどんな変革をもたらしているのでしょうか?いくつかの面白い実例ともに紹介させて頂きます。

①進化するECサービス

2021年度はコロナ禍の影響もありアパレル産業の売り上げ全体の21,5%がECサイトでの売り上げとなりました。物販でのEC比率は他のカテゴリと比べると高いと言えますが、AIの技術によってさらに比率を高める事になりそうです。ECサイトで購入する際の一番の悩みはサイズ問題です。この問題を乗り越えるAI技術が発展し、よりインターネットでの買い物がしやすいものとなりました。

その一例がオンライン試着サービス「バーチャサイズ」です。United Arrows,BEAMSといった大手セレクトショップのECサイトで目にかかることが出来ます。自分の身長、体重、体型の特徴を入力すれば適切なサイズだけでなく、ちょっと大きめ、ちょっと小さめといったディテールまで教えてくれる、きめの細かいサイズ提案がEC上で可能となりました。トレンドのオーバーサイズの着こなしはもちろん体にフィットしたシャツやテーラードジャケットにも最適です。機械学習によりサービスが浸透し、ユーザーが増えれば増えるほど精度が高くなります。また何よりUXがとても秀逸です。

AI技術はECサービスに留まっておりません。実店舗でもその技術を駆使し最先端の買い物を楽しむ事ができます。

②ワコール 3Dスキャナ常設店舗をオープン

老舗下着メーカーのワコールは原宿店に3Dスキャナを常設し最先端の技術を駆使したサイズ提案サービス「3D smart & try」を発表しました。AIと会話しながら、セルフで3Dサイズスキャナを使い最適な下着の提案を受ける事が出来るのです。最適な下着サイズの提案はプロの仕事でしたが、これならセルフで完結します。また希望すれば販売員の方とより密度の高いカウンセリングを受ける事が出来ます。顧客目線で見れば、スムーズで最適な下着を1人で見つける事が出来、店舗目線で見れば、マンパワーの削減と顧客化の角度がグッと高くなる優良なお客様が獲得できる双方嬉しいサービスと言えます。

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今私たちが最も身近で使うことのできるAI技術は前編でも述べたとおり、文章生成をしたり画像生成をしたりする技術でしょうか?プレゼンのスピーチを考えたり、画像をトリミング・コラージュをしたりなどビジネスでの効率をグッと高めて生産性を向上させています。adobeの最新アップデートではAI技術を駆使してデザインに新しい可能性と無限の広がりを提示しました。

Fashionデザイナーの仕事やEC関連業務などはAI技術の発達によって今後どうなっていくのでしょうか?

ゲームチェンジャーになりうる新技術が忍び寄っています。簡単に言うとおしゃれを数値化し自動で新しいデザインを生み出すAIです。以前のコラムにSHEINの解説記事を掲載しましたが、AIにより自動で生成されたデザインの洋服は世に流通しています。また既にプロダクトをワンストップでAI化されているアパレルメーカーも存在してるのです。ファッションデザインにおける情緒的背景はこれまファッションデザイナーの最たる仕事とされていましたが、トレンドや嗜好性は、消費者の行動を分析することで数値化され、精度の高いアウトプットへと向かっています。

EC業務に関してはどうでしょうか?何度も述べているように、ライティング業務や画像の修正などは既に現状のAI技術で効率化が図れるようになりました。

最近ではShopify,Baseといったコードを使わずにECサイトが構築できるシステムが多く使われてきました。多くのショップやスモールビジネスでの利用が可能になりECに新たな風となりましたが、これからはもう1段階の進化フェーズがやってきそうです。AIによってコーディングまでも完了できる今、ノーコードでのECサイト運営が以前程魅力ではなくなる未来がそう遠くない現実として訪れる気がしてなりません。そしてより自由度が高く、消費者が望む情報提供が可能なECコマースの時代へ突入するとともに、新しいAI技術を導入していないサイトとしているサイトでのコンバージョン率などに大きな変化がもたらされるはずです。

ファッション従事者はどうなるのか?

ファッション業界に関わらず、日々の生活、多くの産業でAIによる新たな改革が進んでいます。私の仕事はそう遠くない未来AIの仕事にすり替わっても全く驚きませんし、RyuichiのデザインもAIに取って変わられるのかもしれません。明日は無くならないけど、3年後は5年後はどうなるのでしょうか?AIに負けないクリエイティビティや発想を身につけるしかないのでしょうか?その技術を受け入れ享受し、うまい使い手となりバランスよくやっていくしかなさそうです。

このような議論になると対極にある「人の温もり」であるとか「手間暇」という単語がキャッチアップされます。私は未だそういったテクノロジーの進化と対極にある単語群の本質が分かり得ていません。これから先Fashion業界は特に「人の温もり」であるとか「手間暇」の本質について考えを深め、消費者に共感を求めることが必要なのだろうと感じました。